お医者さんはシューフィッター 整形外科医との連携に必要なシューフィッターの知識 橋間 誠

●人類は直立2足歩行

 シューフィッターの教科書にも載っていますが、動物は、進化の過程で1 億2,500 万年という長い間、4 足で歩いていました。先日も、動物園でワニの骨格標本を見ていますと、人間と同様、頚椎、胸椎、腰椎があり、骨盤には仙腸関節があり、膝関節の前方には膝蓋骨があるのです。2 足で歩き始めた500 万年という期間は、4 足歩行をしていた期間を考えると、つい先ほどからという感覚です。当然いろんな解剖学的トラブルが出てきてくるわけです。
4 足から2 足になって大きく変化したのは、股関節が屈曲位から伸展位になったことです。2足になったことで股関節は微妙なバランスを保たないと転倒してしまう関節となりました。 安定した立位を保つには、この不安定な股関節をどううまく固定させるかという事が重要となります。


 私たちは、2 足で立つことを1 歳ごろに、自然に学びますが、最初は疲れたら座る、寝ころぶという行為が許されています。それが、4歳ごろになり、幼稚園で集団行動が始まると、疲れても立ち続けることが必要とされてきます。ここで、私たちはどうすれば楽に立位を保つことができるのかを独自に学ぶのです。
股関節の安定化の仕方の中で、数パターンがのちの不良姿勢を生むことになります。驚くことに、4 足歩行から2 足歩行に変わった時、股関節が伸展したため、股関節の前方には関節を安定させる筋肉はありません。股関節の前方にあるのは靱帯です。人のからだで一番太く、骨盤と大腿骨をつなぐ靭帯で、腸骨大腿靱帯と言います。(図1)

 

 姿勢学を勉強していくとこの靭帯に到達します。この腸骨大腿靱帯が股関節の周りを取り巻いているため、うまく使うと、股関節はロックし、非常に安定した姿勢で立つ事ができます。

橋間 誠(はしま まこと)

医療法人橋間診療所理事長・院長(http://www.move-like-flowing.com/
メディカルフィットネススタジオムーヴ・ライク・フローイング施設長
日本整形外科学会認定医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本医師会健康スポーツ医
ネバダ州立大学公認 ピラティスインストラクター
・1966 年 生まれ
・1991 年 近畿大学医学部卒業
・1997 年 医学博士号取得
・2007 年 医療法人橋間診療所理事長・院長に就任
・2010 年 FHA シューフィッタープライマリーコース認定取得

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