正しい、股関節の安定化法を説明します。
この方法は、空手などの格闘技全般、さらにヨガやピラティスなどの運動方法に広く使われています。尿や便を我慢する時に収縮する筋で、陰部から肛門にある筋群を骨盤底筋と言います。恥骨と尾骨をつないでいる筋肉です。この骨盤底筋を収縮させると骨盤が後傾します。骨盤が後傾することで、骨盤に付着している腸骨大腿靱帯が大腿骨の頸部に絡まり、股関節が強固に固定されます。この時、体幹を取り巻く腹横筋などのインナーマッスルが収縮するため、さらに体幹が安定します。これにより、私たちは長時間安定して、立位が保てるのです。武道では相手に倒されないようこの方法で立位を安定化しているのです。ピラティスでは、骨盤を後傾する時、側方から見ると、腰椎から骨盤がカーブしているため、このカーブをCカーブと呼んでいます。(図1)ピラティスは胸腹式呼吸をしながら、腹部のインナーマッスルを強化していく、ヨガをトレーニング化した運動方法です。高齢になってもスポーツを続けていけるかどうかは、このCカーブができるかにかかっています。体幹の安定は、関節、脊椎の変形を最小限にし、加齢により生じる様々な疼痛をともなう整形外科疾患を予防してくれます。そのため、私のフィットネススタジオでは、ピラティスを採用し、多くの若年者から高齢者にCカーブの指導をしています。
次に、股関節の安定化でよくある悪いパターンを1つ紹介します。それは、極端に股関節を内側に捻じって、内股にしてみる方法です。(図2)私は小学校の校医をしているため、定期的に検診をしているのですが、女の子のほとんどが、内股になっています。なぜ、内股にすると、股関節が安定するかと言いますと、股関節を内旋することで、股関節後方の梨状筋、双子筋などが緊張し、股関節がロックされます。これにより、腹部の筋肉を使わなくても長時間立位を保たれるわけです。この時、腰椎は伸展しているため、見た目は腰が反っており、姿勢が良いなどと評価されてしまい、この不良姿勢が正されることがないまま将来、膝や脊椎が変形していくパターンが考えられます。こういうことを考えると、早急に、幼児期、学童期に正しい姿勢、正しい立位方法を指導するシステムを作らなければなりません。